{* *} Monkey Magic Blind Climbing Challenge in Kenya 2018.3.13-16 - NPO法人モンキーマジック
モンキーマジックとは?

Monkey Magic Blind Climbing Challenge in Kenya 2018.3.13-16

ダイジェスト動画

プロジェクトの目的

モンキーマジックが行う海外事業として、2005年から日本国内で培ってきた障害者クライミングの指導や普及のためのノウハウを、障害者クライミングの未開拓国、地域にも普及させ、日本国内同様に障害当事者、社会における障害者への理解促進などを図ることを目的とする。
まず、その第1か国目として、既に現地との関係性を持っていたアフリカ・ケニアでの事業展開を始めた。

プロジェクトの概要

2018年3月12日(月)より16日(金)まで、現地のNGO"Kilimanjaro Blind Trust Africa"(KBTA)と、室内クライミングジム"Blue Sky"の協力にて、ナイロビ市内4校の盲学校に通う10歳から18歳までの75人の子供たちを迎えて、室内施設でのクライミング体験会と、Blue skyスタッフへの視覚障害者指導方法トレーニングを行った。

Blue Skyはケニアの首都ナイロビにある東アフリカ諸国唯一の営業クライミング施設で、ショッピングセンターの最上階に位置し、低いながらロープクライミングも楽しむことができる。

KBTAはケニアのナイロビを拠点に、2008年より周辺4か国を含めた、盲学校に通う子供たちへの教育支援を各国視覚障害者福祉協会などと連携し行うNGO。

プログラムの初日は現地ジムスタッフ9名を対象として、モンキーマジックのノウハウを活用した視覚障害者指導方法を伝授するトレーニングを行った。

二日目から四日目にかけて連日異なる25名の視覚障害児が訪れ、全員が生まれて初めてだと言うクライミング体験の中から午前はボルダリング午後はロープクライミングを楽しんだ。

最終日には全ての子供75名が再び集まり最後のクライミングと、現地教育省の官僚立ち合いの元クロージングセレモニーも開かれた。ジムは連日終始笑い声が溢れ、悔しそうに繰り返し壁に向き合う子供たちの姿が見られた。

経緯

NPO法人モンキーマジック代表小林が2005年のキリマンジャロ登山の際にこのKBTA設立に関わり、2016年にケニアを再訪した際に、子供たちの学びの機会は増えたが余暇活動が不十分な盲学校の現状と、Blue skyでは現地ケニア人の利用が少なく地域との交流を求めている現状を耳にし、ならばと帰国後助成金を申請し今回の実施に至った。
また、代表小林は元々パラクライミング世界選手権などの出場を重ねることを通じ、アジア、アフリカ地域での障害者クライミング未開拓の現状を把握していたこともあり、この必要性を強く感じその期を伺っていた。

成果と課題

指導に当たったモンキーマジックの鈴木直也、中澤直之、山本正樹によると、特に学齢の高い子供たちほど、クライミングが初めてとは思えない高い肉体的な運動能力を示し、また誰も教えていないはずのムーブやテクニックを繰り出すものまでいたと言う。アフリカの地にこのスポーツが根付いた時には、世界の限界を押し上げるようなクライマーが障害の有無を問わず現れるのかもしれない可能性を目の当たりにすることが出来た。

しかし、いかに難しい登りが出来るかということだけではなく、笑い声と悔しそうな姿と、もっとやりたいという声は、国境や人種、言語などを超えて、同じ価値がそこに存在することを確認するに十分なものであった。

35歳未満が人口の65%を占めるという人口構造はそのまま障害者の数にも比例している一方、学校教育を受けられている視覚障害児は20%程度に留まっているのが現状だという。
すべてが一度に劇的に変化することは難しいが、出来ることから少しずつという点では今回現地メディアの取り上げも大きく社会認知もあったことから、第一歩としての前進は間違いなくあった。

課題は今後どのようにこれを持続可能な取り組みとして根付かせるかである。
今回のプログラムは助成金を得て渡航費を確保することで実現が出来、アフリカの視覚障害児にとってもインドアクライミングが価値あるものであることは、事後のインタビューなどを通じ確証を得ることが出来た。
しかし、私ども単体では資金面を始め実現できない課題も多く、まずは滞在中に精力的に築いた現地のつながりを最大限に活かしながら、日本国内での支援者を募っていかなければならない。

未来に向かって

プログラム終了後の滞在最終日にはナイロビから車で南東へ30分ほどのLu Kenyaと言うエリアでのボルダリングにBlue skyスタッフの案内の元出かけた。
ボルダーだけでなくスポーツからトラッド、マルチまでのエリアが近接し、岩質は極めて花崗岩に近い。アプローチも最も近い所では車を止めた場所から20歩ほどといったところだろうか。
周囲には野生のシマウマやインパラ、遠くにはキリンまでがおり、丘の上から地平線を見渡すと遠くアフリカにやってきた実感がするとスタッフ一同一様に感動の言葉を口にし、いつか人工壁を登った現地の子供たちがこの岩を登る日がやってくるまでの関りを持とうと誓い、今回の旅を締めくくった。

謝辞

本プロジェクトは、SPORT FOR TOMORROW政府認定事業として、日本国際協力システムの助成を受け実施しました。

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