「視覚障害者とクライミング」をテーマにお話しする前に、まずは「クライミング」についてお話します。
最近はカラフルな石が室内の壁に取り付けられているところを登る人の姿を、テレビや雑誌で「フリークライミング」や「ボルダリング」というスポーツとして紹介されているものを御覧になったことのある方も多いと思います。
フリークライミングは、上へ登る動作に対して、ロープや金具など人工的な手段を用いず、ロープやマットなどで安全確保の上、手や足等人間が本来持つ能力だけを用い、自然の岩や人工の壁を登るスポーツのことを言います。
元々は自然の中で行うロッククライミング(岩登り)の一種として日本にやってきたスポーツで、現在は、屋内のクライミング施設も広がり、街中でも楽しめるスポーツとして広がっています。
また特に高さが4,5mと低めで飛び降りても怪我をしない程度のものはマット等で安全確保し、ロープを着けずに登るものを「ボルダリング」と呼びます。
(以下、「フリークライミング」を省略し「クライミング」と記載)
「スポーツ」と言うと、オリンピックやサッカー・野球などのように、勝敗や速い遅いといった優劣がつくもののイメージが強い方も多いと思います。
しかしクライミングは、競技スポーツというよりも生涯スポーツとして、自分のペースで楽しんでいる方が多いスポーツです。
それは、クライミングが、自分の目標に向かって楽しみ、達成感や自分の成長を実感することが出来るスポーツであり、速く登る必要も、対戦する必要もなく、どれだけ時間を費やしても、何度失敗してもかまわない、という特性のスポーツだからなのです。
またルールも至ってシンプルで、スタートからゴールまで自分の今持つ体の能力を総動員して登ればよく、登り方はその人次第なのです。
このクライミングが持つシンプルなルールは、運動経験の有無、老若男女、障害の有無までを含み、さまざまな人の生涯スポーツとして、様々な人が、それぞれのペースで楽しめる所以でもあります。
私たちモンキーマジックのスクールでも、これまでに4歳から82歳までの視覚障害児者の方々がクライミングを楽しんでくださっています。
私たちは次のように考えています。