自分の身体だけを使って自然の岩や人工の壁を登るクライミングは、2020年の東京オリンピックに「スポーツクライミング」として正式種目に追加されたことでも注目を集めています。
人工の壁を登るクライミングでは、壁についたたくさんのホールド(人工の石)の中からあらかじめ決められたものだけを使い、登り方のパズルを解くようにゴールを目指します。
勝ち負けや早さなどは問わないため、背格好も性別も年齢も関係なく、自分の目標に向かってステップアップすることを楽しむ自己達成型の全身運動です。
「登る人を次々に光るホールドと音でゴールまでみちびく」というコンセプトの、全く新しい室内クライミングのためのホールドのシステムです。
「みちびクライミング」では、登録されたルートのホールドが順番に明るく点灯。正しいホールドを持つことができたら、荷重センサーにより音が鳴るとともに次のホールドが点灯します。ゴールのホールドは、点滅によって知ることができます。
「もっと直観的に、もっと多くの人が、もっと身近に、クライミングの世界を楽しむことができるように」という想いから生まれた、この「みちびクライミング」は、世代や障害の有無などを越えた、多様な人のこころとからだの健康増進をみちびくことができます。
※ クライミングの中でも、飛び降りてもケガをしない程度の高さで行うものをボルダリングと呼びます。
ホールドを光らせたいという話を最初にお聞きしたのは5年ほど前になります。リハビリテーションを楽しく行うことができる、とても良いシステムだと感じた記憶があります。
「みちびクライミング」では、次の目標となるホールドをいかに目立たせるかと考え、ただ光るだけではなく、点滅することでより視認しやすいようにいたしました。また、ホールドを「持った」ということを検出するということにもこだわりました。
スマホの操作と同じ静電容量を検出する方法や、人の体温を検出する方法など、さまざまな選択肢がありましたが、どれも「触った」、「近づいた」だけで反応してしまうため、クライミング本来の動作であるホールドをしっかりと「把持した」ということを検出するため、荷重がかかったことを検出する圧力センサを使用しました。
視覚に障害のある方が「見る」ことを訓練するだけでなく、クライミングの楽しさも感じていただければと思っています。
株式会社シーワテック
代表取締役 田中靖紘
モンキーマジックは、2017年12月開設の神戸アイセンター・2階にオープンする「Vision Park(ビジョンパーク)」内のクライミング壁を監修し、「みちびクライミング」の導入・設置が完了(2018年4月3日より本格運用開始)。
神戸アイセンターでは、iPS細胞治療の臨床応用をはじめとした眼科高度医療だけでなく、同時にロービジョン(弱視者・視覚障害者)のリハビリや社会復帰支援の提供を予定。光を認識できる程度の視力があれば、「みちびクライミング」で晴眼者と同じルールで全身運動のクライミングを楽しむことが可能となるため、リハビリへの積極的な活用や、クライミングをきっかけに運動機会拡大などが期待されています。
2018年4月3日からは、ビジョンパーク みちびクライミングウォールとして営業を開始しています。
世界で2番目、関東初の「みちびクライミング」を2021年5月に開院した神奈川県厚木市の眼科医院「ニケクリニック」に導入・設置をしました。
クライミング・ボルダリングは、もう出来ないと思っていたことが出来たと言う体験を通じて、自信を取り戻したり新しい可能性に気づいたりすることが出来ます。 視覚障害リハビリテーションやロービジョンケアにつなげられればと、院長はじめとする皆様の強いご意向にて設置が実現しました。
みちびクライミングは、NPO法人モンキーマジックがこれまでの障害者クライミング普及活動の経験を活かし開発支援と販売を行い、株式会社シーワテックが製造いたします。
http://shiewatech.jp/sensorsystem/michibiclimbing_kobe_20171126.html