2025年 10月 29日(水)15:00
【活動報告】台湾・Formosa Monkey(フォルモサモンキー)
Formosa Monkey in 台湾 〜2年間の歩み〜
2023年12月1日、モンキーマジックの台湾での第一歩が始まりました。
国立体育大学のウー教授の紹介により、「Camp4」というクライミングジムをお借りし、視覚障害者を含む約30名が高さ9mの壁に挑戦しました。
サイトガイドの声を頼りに必死に登る人、数メートルで断念する人、笑いと悔し涙が入り混じる時間の中で、私たちは台湾におけるモンキーマジック活動の可能性を強く感じました。多くの課題が待ち構えていることは分かっていましたが、「諦めずに続けること」、そして「いつか台湾でも交流型クライミングを実現すること」——その思いを胸に、次の訪問を誓い帰国しました。
およそ1年後、2024年10月。「モンキーマジック台湾」立ち上げを目指す第2回の訪問が実現しました。
今回は台北で6店舗を展開する大手クライミングジム「T-UP」の協力を得て、クライマーも参加できる交流型イベントを開催。
10月14日のボルダリング体験会には、ブラインドスクールの子どもたちや先生を含め30名が参加しました。
初めてのクライミングに戸惑いながらも、やがて笑顔でゴールに到達する姿が見られ、クライミングの魅力と可能性を改めて感じる一日となりました。
翌日の体験会では、主に経験者が集まり、16名がペアを組んで目隠し登攀に挑戦。視覚障害者の参加はなかったものの、目隠しで登る新鮮な体験に多くの参加者が感動し、「今後も挑戦してみたい」と話す姿が印象的でした。クライミングには障害の壁がない——その瞬間を、私たちは確かに目の当たりにしました。
この頃から、現地ジムとの信頼関係が少しずつ深まり始めます。そして2025年2月、第3回目の訪問が実現。T-UPの多大な協力のもと、視覚障害者と健常者が共に参加する初の募集型交流イベントが開催されました。ボルダリングでは約20名が参加し、前回の参加者の姿も見られました。続くトップロープクライミング体験会では、視覚障害者を含む15名が参加。大声で指示を送り合う熱気の中、ジムスタッフの親族である視覚障害者の親子も参加し、親子でのクライミングも実現。このとき私たちは確信しました——「モンキーマジック台湾は、もうすぐ形になる」と。
その後、協力関係を築いてきたT-UPのさらなる支援を得て、2025年5月に第4回目の訪問を実施しました。この訪問は、これまでの取り組みの中でも特に意味のある一歩となりました。目的は、T-UPのスタッフが私たちのサポートなしで交流型イベントを運営できるか、その最終確認を行うこと。
現地では、視覚障害者への対応の基本から、サイトガイドの方法、イベント進行のトレーニングまでを実施。その後、スタッフ主導による模擬イベントを開催し、彼らだけの力で見事にイベントを運営しきりました。「もう彼らだけでやっていける」——その確信が、チームの中に静かに芽生えました。
そしてこの時、T-UPに新たなリーダーが誕生します。その名は林さん。強い情熱と責任感をもってこの交流イベントを主導した、非常に頼もしい人物です。彼の強い意志を受け、私たちは林さんを日本の「マンデーマジック@高田馬場」へ招待しました。実際に日本で行われているモンキーマジックの活動を体験してもらい、林さんのモチベーションはさらに高まりました。
「次は自分たちが主催したい」その一言が、台湾での第1回交流型イベントの始まりとなりました。
その名も 「Formosa Monkey」(フォルモサモンキー)
そしてついに、「第一回 Formosa Monkey」が10月に正式に開催。
さらに同時開催で、目隠しコンペ「黒夜盃(こくやはい)」も実現。
30名の参加者のうち、1名は視覚障害者。
本格的なインクルーシブ・コンペがついに台湾で実現しました。
Formosa Monkeyの参加者は2名と少数でしたが、確かな第一歩を刻みました。
第2回の開催も同年12月に決定し、T-UP主催による継続的なイベントとして今後も展開されていく予定です。
「継続は力なり」——今回の活動がまさにその証でした。文化も言葉も異なる台湾。まだ越えるべき壁はありますが、このインクルーシブな交流型イベント「Formosa Monkey」を通じて、誰もが一緒に楽しめるクライミング文化が台湾に広がっていくことを願っています。
【活動の様子】